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主教からのメッセージ

アンデレ便り11月号:フィリピンは厳しい

2015年11月1日

東アジア聖公会総会に出席するため、10月5日(火)午後、ニイノ・アキノ国際空港に降り立ちました。
    

この暑さでクリスマスソング?

 ホテルからの迎車を期待し、私の名前を掲げたプラカードを探したのですが、どこにも見当たりません。20分待って諦めました。案内で聞きますと、メーター付のタクシーに乗り渋滞に遭遇した場合、いくら取られるか分からないから、クーポン制のタクシーを利用したほうが良いとのことです。指示された場所に行きますと、若い女性が寄ってきて、「あなた、神父さんでしょう」と言いながら、私の右手にキスをして、その手を自分のおでこにつけ、「幾ら払えるのですか」と聞きます。タクシーの相場やホテルまでの距離も分からない私は、「幾ら払えばいいのですか」と逆に質問するのですが、要領を得ません。ホテルの名前を告げますと、何やらリストを取り出し、900ペソ(約2,700円)で交渉が成立しました。後でわかりましたが、ホテルで車を頼みますと、空港までは1,100ペソでした。旨く交渉すれは、半額に値切れたかもしれません。
  しばらくするとミニバンが到着。助手席に乗り込むと、若いお兄さんが運転席に座っております。空港を出てすぐに前進を阻まれ、お兄さんはやおら、ボックスから新しいCDを取り出し、それをカセットに差し込みますと、クリスマスメロディーが車内に響き渡ってきました。フィリピンはプレ・クリスマスシーズンまっただ中なのです。でも、気温30度以上の、むしむしする環境のなかで「ホワイトクリスマス」を聴くのは、相当な違和感を覚えるというものです。

道端の食堂は安い

 普通なら20分のところを、1時間以上かかってホテルに到着しました。夕方となり、夕食を摂る必要があります。ホテルのレストランを覗きましたが、バイキング形式の食事の値段は800ペソです。高額ですし、これから毎日、このホテルで食べなくてはなりませんので、飽きてしまうに違いありません。予想通り、翌日からの朝昼晩、全く同じメニューにへきへきしてしまいました。
  ホテルを右折し、辺りを見回しながら歩きますと、塀に沿って、そこで寝泊まりしているのでしょうか、粗末で小さな小屋があったり、子どもが裸で歩いていたり、半裸の大人が横になっております。店の入り口にはショットガンをもったガードマンがおり、銀行前には装甲車まで待機しています。しばらくして、中華料理店の灯りが見え、なかに入ることにしました。日本のファーストフード店と同様、写真でメニューを説明しておりますので、料理は一目瞭然で、ワンタン麺と豚まんセットを頼みました。値段は110ペソで、満腹したという訳ではありませんが、味はまあまあというところです。ホテルでは2,400円でしたので、8分の1の値段で夕食を終えることができたことに、満足感を覚えました。
  7日(水)午後4時、開会聖餐式をもって総会が開始されました。司式はフィリピン独立教会オビスポ・ファシュタガキ大主教、説教はアビビコ・フィリピン聖公会首座主教です。首座主教は、フィリピン人の怠慢や、無能さが原因でこの国が貧しくなったのではない。神の御心に反する経済格差を解消させるために、教会は何らかの行動に移る必要があると力説されました。
  日本聖公会の現状発表の分担を決めねばなりません。当然、主教である私が代表して、担当するものだと、日本聖公会代表者3人は思い込み、安心しきっていたようですが、折角このような機会を与えられているのですから、私がしゃしゃりでる幕ではありません。相談した結果、パワーポイント操作は小林聡司祭(京都教区)が、篠田茜さん(京都教区)と古沢はんなさん(九州教区)は、英語説明を担当することになりました。三人とも、このような場での英語発表は初体験であり、不安と緊張は並大抵ではなかったかと推測します。戦後70年を記念する諸行事、憲法第9条に関わる安保法制問題、東日本大震災救援活動、管区女性デスク設置、女性会議、ハラスメント防止問題などを取り上げた日本聖公会のプレゼンテーションは、各管区・教区代表者にインパクトを与えたのではないでしょうか。
  総会2日目の朝に行われた、貧困と移住問題についてのNPO法人「IBON」の話には、私の目から見ますと、フィリピンの将来に、悲観的な見方しかできないとの思いを抱かざるを得ませんでした。

平均月収が4万円

 フィリピンの人口約1億のうち、マニラに4,000万人が住んでいます。路上生活者を加えれば数はもっと増えるでしょう。フィリピンには製造業が少なく、釘さえ輸入に頼っているのです。1,220万人の人たちに職はなく、ようやく職にありついている人の44%は非正規労働者です。毎日4,500人が海外に脱出せざるを得ないことも納得できます。4百万人の子どもたちが学校に行かず、小学校卒業率は66%、高校のそれは43%です。農業従事者の70%は自分の土地をもたず、田畑を耕すのに未だに牛を用います。収入は、労働者平均の半分です。土地所有者の三分の一が、全土の80%を所有し、大企業社長の月給は1,740万円ですが、フィリピン人の平均月収は4万円です。1,200万人が海外で居住しておりますが、その人たちの送金によって、残された家族が養われているのが実情なのです。
  では、どのようにしたら生活の向上を図ることができるのでしょうか。産業を育成し雇用を図ること、教育を充実して、国の発展のための人材を確保するという2つの目標を講師は掲げておりました。

聖ルカ教会訪問

 10月12日(日)の朝、私たち日本人グループはケソン市の聖ルカ教会に向かいました。ホテルから車で約1時間かかって到着した扇形の教会は、近代的で、その奥に集会室が設けられております。牧師のアルビン・メンドーザ司祭は、聖アンデレ神学校の組織神学教授ですが、メンドーザ司祭の家庭は貧しく、神学校の学費は、東京教区の高畠司祭などが中心となって援助し、無事卒業することができたそうです。実は、この教会敷地や建物も、主に、日本からの献金によって購入されたのです。その礼拝堂も、近年、雨漏りが激しくなり、300万円かけての改修工事が必要となっております。礼拝後、テーブルに並べられた持ち寄りのご馳走に舌鼓を打ち、信徒の方々と楽しい歓談の時をもちました。